「ちちんぷいぷい」における教育基本法コーナー:ワタシは教育基本法改正反対

ちちんぷいぷい」というお昼の人気番組があるんです(MBS(TBS系)月〜金14:00〜17:50)が、そこで6日に教育基本法についてとりあげられていたのでビデオをとりました。以前予告しましたリライトをエントリします。id:t-hirosakaさんもすごく注目されているので全体的な文脈も提示する必要性があるわけです。学力格差は将来の収入の格差になって格差の固定につながること、塾にいけるかどうかの時点で階層格差があるかもという点、底のほうはどうなんやということが短い時間では詰められなかったように思う。


【出演者】
*1淳一 番組メインパーソナリティー
石田英司 コーナー司会
桂ざこば師匠 落語家
小宮一慶 経営コンサルタント
掛布雅之 ミスタータイガース
加藤紀子 タレント
八木早希 アナウンサー


【本文】
石田 えー、今日はこの問題なんですが、これが本当に面白くないというか、わかりにくいというか、新聞にはよくでてる教育基本法改正問題。なんで面白くないかというと観念的なんです常に具体的じゃない。


角 さっきの話もそうやけどわからへんもんな


石田 こんなけやあやあやあやあいうてるけどたった11条の法律なんです。A4一枚ぐらいでおさまる法律。今愛国心とか問題になっている。まあ11条を18条にしようとしているので5割り増しくらいにしようとしています。いろんなちょっとどうかなと、ぼくが最近気がつけへんかったこと、いわれて「えー」と思ったことを今日紹介したい。「教育の憲法」というべき教育基本法なんですが、だからこれがあってさらにいろんな法律がある。憲法ですね。
安倍首相は今回の改正の目的をこういうてます。これわかったらスゴい
「志のある国民を育てそれによって品格のある国家をつくるというのが改正の目的」


角 「志ある」といわれると、明治維新の頃の土佐や長州藩から出てきたああゆう志士たちと・・・


石田 あのころとは時代がぜんぜん違いますな


角 国を考えるわけでしょ。あるいはまたイチローや松井のようなメジャーリーグでがんばりたいというような志のある・・・


石田 どっちかというとそっちやと思いますわ


角 そんなんかいな


ざこば そら「やる気」でええんか?


石田 「尊皇攘夷」とか今そんな時代ちゃいます。


角 今愛国心とやかまし言ってるのは、「今教育現場が乱れているのは愛国心がないから」という単純な議論なのか、それとも本当に北朝鮮の脅威があって日本の防衛とか考えなあかんからなのか、どっちなの?


石田 いじめとか未履修とか問題あるでしょ。これとはリンクしないように思うんですわ。無理やりリンクさせようとしてるけど。


小宮 どうにでも解釈できる話ということですか


石田 そもそも「品格ある国家」て何ですか?


角 ということは安倍さんは何をやろうとしているのかわからない。


石田 教育評論家の尾木直樹さんは「きれいで抽象的な表現ですが、その裏には国家が国民を育てるイメージがあります。国にとってのよい子を作ろうとしている感じです。祖国愛は理解できますが愛国心は怖いですね」


角 これは、「いい子」は病むというのがわかってきた。


石田 これ「都合の」とつけてもいい。国にとっての都合のいい子ですけど。


角 だから、都合のいい子をみんな演じてきた。みんな病んだり学校で問題が起こっているのはみんないい子を演じているから起こっている。


(中略:尾木直樹のいじめ論)


石田 焦点のひとつ、愛国心について安倍首相は次のように答弁してます。VTR


(VTR 八木早希ナレーション 今国会の経過、教育基本法の性格について、焦点は愛国心ということ、日の丸君が代強制に影響する可能性、「統治機構は含まない」「評価はしない」という首相答弁答弁、いじめ・未履修問題の影響で愛国心に関する議論は今国会ではまだこれから)


石田 愛国心もやらないかんのですが、今はああゆうふうに答えていると覚えておいてください。非常に抽象的な議論が続いている中、真っ二つに分かれているのが「格差」。これがおもしろい。これは日本語てむつかしいな、法律のことばひとつでかわる。
安倍首相はこういうてます「公教育を改正しないと」つまり教育基本法を改正しないと「(経済的な)格差が拡大する恐れもある。改革は待ったなしだ!」*2。この理由はちいとわかりません。小宮さん、教育を改めないと格差が拡大するというのは少しわかりにくい。


小宮 わかりにくいですね。教育自体変えないといけないと思っていますが、格差拡大と関係あるかどうか論理的でない。


石田 そこには地方分権とかいろいろな問題がある。安倍さんは教育基本法を変えないと格差が拡大するといっている。ところがちがう、改正すると格差社会を拡大すると言ってる人がいる。まったく同じ文章をめぐって格差社会を止めるといっている安倍さん、格差拡大すると。反対意見のひとつですが現場の方や識者の方、長崎市ではハンストもした。
こっから国語です。めっちゃむずかしい。さっきもいったように11条あるんですが第3条「教育の機会均等」


(教育の機会均等)第3条 

すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。


(教育の機会均等)第四条

1すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。


この赤く変えたところだけ変えてるんです。なぜ「応ずる」のままだといけないのか、あとは一字一句同じ。


角 わかるわかる。それで格差拡大といっているのか。


石田 この「応ずる」と「応じた」の違いでもめています。一見、二文字で、何で「応ずる」を「応じた」なのか。「応じた」はわかりやすい。


小宮 それは潜在能力と顕在能力ということですね。


角 「応じた」は「能力に応じた教育をうけなさい」ということ。「応ずる」はまだ現れてないかもしれないあるかもしれない。


石田 わざわざなんで変えんなあかんのかもめてます。


角 そんなんでもめてんの?


石田 いっぱいもめてますけどここちょっと面白かったんで。能力の捉え方が違う。


能力に応ずる教育
「小学校低学年の能力ならこれぐらい」「中学1年の能力ならこの範囲まで」と教育の機会と中身を平等にあわせている


というのが今の教育。そんなん理想やないかといわれるけどとにかくこうやっている。潜在能力はあるかもしれないが、平均的なところはここや、ということでやっている。

能力に応じた教育
「50点の子はここまで」「100点の子はこの範囲まで」と能力の上下によって教育の機会が差別化される恐れがある」たとえば「飛び級」も可能になります。


角 わかるわかる、そういうことをしようとしてるわけね。そういう議論ぼちぼちしてたね、だいぶ前から。


石田 反対してる人は「絶対飛び級出てくるで」と。「応ずる」を「応じた」にしたところからはじまっている。


角 上のほうで行くと、日本の経済が成長したのは誰が来ても大体のことができるから日本の経済が出てきた。それが行き詰ってきて一人天才みたいなのがほしいとそういうことになってきた。


ざこば これ自体父兄とかいうてますけど、「うちのこは塾いってできるのでドンドン授業進めていってくれ」と。塾いってない子は「そない先先いってもうちの子どうしますねん。ちゃんとうちの子もしてよ」と、こんなん父兄でも言うてますが。


石田 とっても難しいことは、公教育でそれをやっていいのかということを議論してない。私学ではやってます。こんなアンケートがあります。
東京大学に基礎学力研究開発センターというのがあります。
全国の公立小中学校4800校から回答、校長先生か、教頭先生が代理で。
Q将来子ども間の学力格差は広がると思うか
  |強くそう思う|27.1%|
  |そう思う|60.9%|
  |そう思わない|11.9%|
  |まったく思わない|0.1%|
すごいでしょ、88%が格差が広がるといっています。


角 広がるのはごく一部の秀才的な、できる子と、他の80%のふつうの子の格差が広がるというの。それは別にいいと思う。そんな子いるもん。


石田 今現在格差があって、それが広がっていきますね。


小宮 話を聞いていてビジネスの世界と一緒だと思った。年功序列で能力に応ずる給料をもらっていた。いまは実力社会で能力に応じた給料しかでない。格差もどんどん広がる。ビジネスの世界見てるみたい。


石田 そうなると安倍さんの何で「応じた」にしないと格差が拡大するというのか、矛盾する。


角 効率のいい勉強をしましょうと、逆にゆうと。日本にとって都合のいい、天才をもっと伸ばそうと。


小宮 格差を広げようということですからね、これやったら。


角 そのこと議論する必要あんの?。ようできる子はどんどん勉強さしたったらええんちゃうん。


石田 ・・・そこはね、何度も言いますけど公教育というのはちょっと違う。私立行ってくださいと。公教育は機会と中身を平等にして結果に差がつくのはしょうがない。


角 わかってる。能力の機会平等は誰がわかって、その子にとって平等は幸か不幸か・・・。


石田 それ大事な議論になるとこで、「応ずる」と「応じた」でやろうとしている。文言ひとつで変わってくる。改正案にいろんなとこちりばめられてる。ネットで簡単に手に入ります。


小宮 大体今議論しなきゃいけないのか。自民党が絶対多数をとっているうちにしようとしているのは危険。


石田 尾木さんは「何も変りません、これやったかて」「むしろ右よりな感じがいや」「学校が非常に窮屈になる」といってます。


角 市場心理としては師匠が言ったように、小宮さんが言ったように、能力の高い子は高めようというそっちのほうへ行きますよ。


石田 さっきもいったように規制緩和ですわ、規制緩和すると格差が広がるのは当然なのに広がらないといわれると「えっ、何で」と思う。


角 そんなこと今いうてる時なの?


石田 尾木さんも「いじめとか子供がいっぱい死んでんのにそんなこというてる場合違うと。愛国心以外にもいろいろありますということ。

*1:真ん中の縦棒は突き抜ける

*2:「公教育を改正しないと(経済的な)格差が拡大する恐れもある。改革は待ったなしだ!」というのが画面にプロジェクターに出ていて「つまり教育基本法を改正しないと」と石田英司が補足