あとしまつ:恩寵としての人権

メモ - 善哉新報(休刊中)

?恩寵としての人権

『〈癒し〉のナショナリズム』小熊 英二/上野 陽子/著 慶応義塾大学出版会 2003.5

私の記憶が正しければ、上記の本の中で「つくる会」に参加している男性が「私は人権より道徳を大切にしたい」とか述べていたような気がするが、今手元にその本がない。とすると、「恩寵」として人権をとらえている人がいるのか?。そもそも「恩寵」てなんぞやあ?。要確認。

と述べたのに、半年以上ほったらかしにしていたので、ここで確認。
この記述と思われる箇所は『〈癒し〉のナショナリズム』第三章 「<普通>の市民たちによる「つくる会エスノグラフィー」(上野陽子)にある。男性は、「つくる会」神奈川支部の有志団体である「史の会」*1参加の法学部3年生。「サイレント保守市民」と分類されている。

―教育一般について自由に述べて下さい。
 「やっぱり、今の教育は道徳と人権のバランスをちゃんと教えてないから駄目なんだと思うんですよ。僕の考えでは、道徳は他人のために自己犠牲する精神、人権っていうのは自分のためだったら他人にどんなことをしてもいいっていうイメージがあります。どっちも大切なんですけど、どっちかといわれれば僕は道徳をとりますね。」

こうみるとそれほどすごいことをいっているわけではないようである。
ついでに、「つくる会」の教科書について、

 「歴史に興味をもたせるためのとっかかりとしては、大成功だと思う。中学生が読んで、たとえば司馬遼太郎の『坂の上の雲』とかを読みたい気にさせるんじゃないですか。でも愛国心教育という意味ではあれが限界でしょう。あれ以上書いてしまうと逆にナショナリスティックすぎる、過激だっていう反論に太刀打ちできない。

と、述べている。
興味深い反応である。

*1:しかし半独立的組織