橋下知事、完敗!?

ご存知の通り、大阪府橋下知事が、大阪府内の公立学校での入学式・卒業式で行われる国歌斉唱時に起立・斉唱しなかった教員を解雇する条例をつくる!と息巻いて・・・、
橋下知事「国歌斉唱で起立しない教員は免職」

 大阪府橋下徹知事は17日、入学式や卒業式の国歌斉唱時に起立しない府立学校や公立小中学校の教員を免職する処分基準を定めた条例を9月の定例府議会に提案する考えを示した。
 府によると、同様の条例は全国でも例がないという。
 知事は報道陣に、「府教育委員会が国歌は立って歌うと決めている以上、公務員に個人の自由はない。従わない教員は大阪府にはいらない」と指摘し、「繰り返し違反すれば、免職になるというルールを作り、9月議会をめどに成立を目指したい」と述べた。
 学校での国歌斉唱では、府議会会派「大阪維新の会」が府立学校や公立小中学校の教員に起立を義務付ける条例案を19日開会の5月議会に提出する予定。
いたかとおもうとあっというまに可決してしまいました。
全国初の「君が代起立条例」可決…大阪府議会 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 地域政党大阪維新の会(代表・橋下徹大阪府知事)が提案した全国初の「君が代起立条例」が、3日夜の府議会で可決、成立した。過半数を握る維新などの賛成多数で可決した。
 公明、自民、民主、共産各会派は反対した。市町村立を含む府内公立学校の教職員に対し、国歌斉唱時の起立を義務づける内容。府施設での国旗の常時掲揚も義務づけた。罰則規定は盛り込まれていない。
 採決では、維新(議長を除き56人)のほか、みんなの党(1人)と無所属クラブ(2人)が賛成。反対は公明、自民、民主、共産など計48人で、「府教委が起立斉唱を指導しており、条例化は不要」などとした。自民の1人は退席した。
 条例は「学校での服務規律の厳格化」などを目的に掲げ、府内の公立小中高校などの学校行事で君が代を斉唱する際、「教職員は起立により行う」とした。府教委が任免・処分権を持たない大阪、堺両政令市の教職員も対象にしている。今月中に施行される見通し。
大阪都構想もですが、日本全国大変なこの時期に、こんな不要不急の政治課題で橋下劇場政治が展開され、大阪府民として他都道府県の皆様にまことに申し訳なく思います<(__)>。
で、ここではなしはぽぽぽぽぽーんと飛んで、橋下知事の興味深いツイートを見ておきたいと思います。
それは「政令指定都市」制度に関するある日のツイート
↓この日は防災面から大阪都構想の正当性を主張する流れでした。
大阪市にとって一番必要な危機管理体制は、広域行政としての危機 管理体制ではなく、人口10万人から30万人単位での、基礎自治体としての危機管理体制。普通の市町村や東京23区が持っている危機管理室。住民の顔を認 識した細やかな危機管理体制が、大阪市内には全くない。極めて危険。
http://twitter.com/t_ishin/status/52385136431480833
それが・・・
これは大阪市だけの問題ではない。堺市も同じ。もっと言えば全国の 政令市が抱える共通の課題。政令市制度は名前の通り、政令で枠組みが作られたもの。要するに役所が作った制度。法律の制度ではない。この制度は限界にきて いる。住民自治を徹底させるためにも、政令市の区を抜本的に変える必要あり。
http://twitter.com/t_ishin/status/52386792426586112
政令市の問題は、「政令」が指定することです。どのような都市を政令市とするのか、ここが一番重要なのですが、この点が政令に委ねられている。大きな枠組みは法律で作り、肝心のところが政令に委ねられている。条項の中でどこが一番重要なキーかを見極めることが重要。
http://twitter.com/t_ishin/status/52545135334010880
なぜ「指定」が重要なのか。それは指定市役所に都道府県並みの特別 権限を与えるから。役所の権限こそが権力。この権限授与こそ民主主義の根幹。本来は法律で都市を指定してしっかりと権限付与を行うべき。どういう都市が特 別の権限を与えられるのか、その要件も国会で議論の上、定めるべき。
http://twitter.com/t_ishin/status/52546168785346560
この一番重要な所が政令に委ねられているので要件が曖昧。人口要件 だけで指定市になり、さらにその人口要件もどんどん緩和されてきている。何が指定市なのか極めて曖昧。さらに政治代表の範囲と権限の範囲も、政令によって 歪められている。もし特例を設けるなら、法律で最後まで定めるべき。
http://twitter.com/t_ishin/status/52546972107816960
RT @suzuki_next: @t_ishin なるほど、どこを政令指定都市にするかは、実質的に役人(官僚)が決めることができるということですね。重要で本質的なことは、法律に書き込むべきだと思います。
http://twitter.com/t_ishin/status/52547918380531712
政令指定都市」という制度を作ったのが本当に官僚なのかその当否はおくとして、政令というのは役人がきめたもんだ、キイキイ」ということですが。
手続き上は閣議決定され、天皇が公布するんですけど、それじゃ不満のようで。
結局、選挙結果に現れる民意との距離が、
法律>>>越えられない壁>>>政令
てな感じのイメージで考えるとわかりやすし。
さて、東京都の石原都政下でも起きたこの種の国旗国家押し付けの根拠は「学習指導要領」にあります。
3 入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/990301d/990301z.htm
学習指導要領は学校教育法施行規則(省令)に基づく文部科学省の「告示」なので、これは「法令」ですらないことは確か。ただし、判例により一部法的拘束力を認められている。
そして、学習指導要領は文部科学省の官僚が関与して作成されたもの、で間違いない。2003年の学習指導要領一部改正にかかわった大槻達也*1・教育課程課長(国立教育政策研究所教育課程研究センター長)は、ここでインタビューされている。
また、橋下知事は教育行政についてこうツイート。
これまでの教育委員会制度の下、どれだけ保護者の感覚とかけ離れた行動を取って来たか。全国学力調査テストの結果公表には反対、土曜日授業には反対、放課後学習に塾を参入させることには反対、進学に特化する高校の設立には反対、大阪では公立中学の学校給食は普及しない、まあとにかくずれている。
http://twitter.com/#!/t_ishin/status/76233466265600001
英語教育についても、話すことを中心にTOEFLを重視する授業への転換にも反対。これら教育現場の反対行動について、教員らはどのような責任を負っているのか。政治家なら選挙で審判を受ける。だからこそ、政治が教育に責任を負わなければならない。、
http://twitter.com/#!/t_ishin/status/76234156501254144
政治の教育への不当介入によって軍国教育に走ることを阻止するためには、今の教育委員会制度が唯一絶対の手段ではない。今の日本、権力チェックをする手段は山ほどある。教育委員会制度の下、今の教育現場は治外法権。民意が全く反映されない。民主的統制が取れていない。
http://twitter.com/#!/t_ishin/status/76234721528512512
「選挙で審判を受けた政治家が教育に責任を負うことが教育の民主的統制」という持論ですね。だとすればなおさら政治家の民主的統制から遠い政令でさえない学習指導要領に不満をもってもおかしくはないですね。ここで普段の橋下知事であれば・・・
学習指導要領なんて、民意のコントロールからまったく離れたクソ官僚どもの作ったクソ制度!!
と当然いつもの調子で官僚批判や、また
クソ中教審関東軍
とか発言し物議をかもすのかとおもいきや・・・・
橋下徹、教育では霞ヶ関に全面降伏!
といったところでしょうか。
(いや〜、橋下知事が「政令は役人がきめたキイキイ」+「クソ教育委員会!」と言ってるからそう思ったんですがね。)

*1:氏の国旗国歌に関する興味深い発言はここ参照→http://d.hatena.ne.jp/holyagammon/20060921/1158803106