子どもが嗤う橋下府政? 橋下府政にとっての「セーフティーネット」とは? とりあえず・・・

連休もあけまして、府議会での論戦が本格化するということですが、ここにきてPT案に対する批判も活発になっております。
 
天漢日乗: 目の悪い子どもは生まれてくるなと言うことか 「子どもが笑う」大阪の橋下徹知事、福祉切り捨ての実態 糖尿病などによる中途失明者や未熟児網膜症など視覚障碍のある乳幼
sociologbook | こんどは大阪府の「識字・日本語センター」が廃止に
 そこで、橋下知事の「セーフティーネット」観について気になった。すると、大阪府のHPにある、4月16日会見―府民に対して「我慢」を強調した―に、このような発言が見られた。


 2点目は、持続可能なセーフティーネットを構築するということであります。
 セーフティーネットの概念につきましては、議会でいろいろと私も「定義ができない」というような、あいまいな答弁を繰り返してきました。いろいろ考えた結果、やはり明確な定義というものはなかなか難しいところではありますが、私の考えとしましては、「行政の基本的な使命として、自らの責任に負うところなく人生や社会の競争という土俵に上がることができない人、同じスタートラインにつけない人を支援するとともに、そのような人が極力生じないようにする」、そういうことをセーフティーネットだと考えております。そして、「持続可能な」セーフティーネットを構築することが行政の最大の使命だと考えております。自らの責任に負うところなく人生や社会の競争という土俵に上がることができない人、同じスタートラインにつけない人を支援するとともに、そのような人が極力生じないようにすることが私の考えるセーフティーネットであり、また、そのセーフティーネットが持続可能なものであること、それをきちんと構築することが行政の最大の使命だと思っております。
2008年4月16日知事定例会見-『改革基本姿勢』
(強調引用者)
 「いろいろ考えた結果」であるので、この会見での発言は、文字通り慎重に用意されたもの、とみていいだろう。
 こころみに、セーフティーネットとは-Google検索してみると、やたら「サーカスの網」という表現が目に付く。
 はじめはなんか「むむ!」と思って書いてみましたが、そこまでいうと言いすぎかな?と思い直し*1、他の論者の見方を並列するだけにしておきます。比較参考してください。いちおう気になったところを強調しております。
 森永卓郎氏の文を引用してみる。
 似たような意味の言葉が、小泉内閣時代にも使われていたのを覚えているだろうか。竹中平蔵大臣が訴えていた「セーフティーネットの充実」である。

 セーフティーネットとは、日本語に訳せば「安全網」。サーカスの綱渡りで、万一綱から転落しても生命の安全が守られるように、下に張られた網のことだ。それと同じように、人生で失敗した人が必要以上の痛手を被らないように、保護的な措置を講じる仕組みが、竹中大臣らの言うセーフティーネットである。

 実際のところ、小泉構造改革下において不良債権処理やリストラが急ピッチで進められ、負け組に転落する人びとが続出した。竹中大臣は、そのことを最初から分かっていたからこそ、セーフティーネットの充実を訴えていたのである。

 竹中大臣セーフティーネットの必要性を訴えたのは、考えてみれば当然のことだろう。ちょっとやそっとでは転落しない社会ならば、セーフティーネットは必要ない。しかし、綱渡りの綱の上のような危なっかしい社会になればなるほど、セーフティーネットは欠かせない存在になってくるのだ。

 再チャレンジ施策も同じことである。負け組がこれからも増え続けることを見込んでいるからこそ、安倍総理は再チャレンジを訴えているのである。もし、本当に負け組を減らして格差を縮小したいと思っていれば、企業が安易なリストラに走らないような政策をとるのが先決である。例えば、必要な規制を強化したり、雇用維持に補助金を出すといったことだ。
安倍「再チャレンジ」施策の真の狙い p2
(強調引用者)

 ついで少し古い(2001年9月27日)が松原隆一郎氏による、コイズミ時代のセーフティーネットについてのまとめ。
 セーフティーネットというのは、もともとの言葉の意味から言いますと、安心して綱渡りが出来るように下に網を張るということですから、基本的には、日本国民がリスクをおかして新しい産業にチャレンジしましょうということになると思います。どういうチャレンジをするかというと、ミスマッチが起きている時に、例えば公共セクター、ゼネコン、流通などの古い産業をやめ、新しい産業に入っていこう。これは新規産業、つまりIT産業やサービス産業に雇用を移転させることを意味します。これがセーフティーネットの問題だと考えられています。
 いくつかご紹介します。一番目は、民間による職業紹介。これは先ほど言いましたように、新しい職場を探すということです。二番目は、新しい職場で持つべき能力を身につけるための教育システムを作ること。三番目は、これは普通セーフティーネットと言われることですが、失業給付を与えること。これについては、特に職業訓練を行った者については、期間を延長しても構わない。これはおそらく、今回一番重要なポイントになると思います。四番目は、これまであまり公共サービスとしてとられてこなかった、公立学校の教員補助、あるいは公式には警察官ではないけれども、例えば駐車違反の車を取り締まるような支援要員、そういう新しい公共サービス部門を作りましょうということ。五番目は、中小企業対策。銀行からお金を借りることが出来ない貸し渋りが続いておりますので、これについては、将来お金が入ってくる、いわゆる売掛金のあるような企業に関しては、ある程度公的に融資をしましょうということ。だいたいこういったものが、基本的な柱になっています。
メディア・リソース - ブリーフィング・レポート 松原 隆一郎「構造改革と今後のセーフティーネット」についてのブリーフィング
(強調引用者)

*1:なんのこっちゃ