大阪「ハコモノ」問題

asahi.com:ワッハ上方、移転検討 大阪府PT、府立施設の見直し案 - 関西

 改革PTでは橋下知事の「すべての事業、出資法人、公の施設をゼロベースで見直す」との方針を受け、08年度予算で1100億円の歳出削減を目指す具体案を検討。うち280億円については歳入増で確保することにし、府立施設の売却益を柱に据えた。

 対象の施設は27。改革PTはこれらを「廃止」「統合・多機能化」「民営化」「存続」などに分類した。関係者によると、ワッハ上方吉本興業所有の施設の賃料が年間2億8千万円にのぼり、これが軽減できなければ、10年度の賃貸契約満了時に移転を検討する。青少年会館は好立地で土地を売却できる可能性が高いため、廃止する方針。国際児童文学館吹田市)は府立中央図書館に機能を集約させる案が浮上している。

 利用者から存続の要望が強いドーンセンターは、他の施設の機能を集約したうえで建物は存続させる。大相撲春場所が開かれる府立体育会館(浪速区)や国際会議場(北区)も存続させる方針。また、弥生文化博物館(和泉市)と泉北考古資料館(堺市南区)は、近つ飛鳥博物館(河南町)に集約することを検討する。

 改革PTの原案は4月中旬にも公表され、議会や市町村などと協議。橋下知事の意向も踏まえた上で、6月にも最終案が公表される見通し。

 「図書館以外は不要」と大見得を切った橋下知事だが、「不要」といっても、実際切り捨てる段になると、その対応にしんどいらしい。
 十把一からげに「豪華無駄ハコモノ」とされる傾向があるこれらの施設だが、逆にすべて処分するとなるとそう簡単にはいかないのは当然のことだ。これを「処分!」と再び叫んであとはしらん、というわけにはさすがにいかない。それを強行するなら、ただ単にそういう権限を行使したかっただけ、ということだ。
 しかし、現状のまま運営するのは、大阪の財政状況がそれを許さない、ということも理解できる。ただオール・オア・ナッシングの発想にとらわれる必要はない、ということだ。施設の機能と収蔵品の完全保管を達成できる、ちゃんとした「受け皿」が用意できれば、なにも大阪府が未来永劫かかわっていかねばならない、というつもりもない。収蔵品をきちんと管理し、適切に公開してくれるのであれば、他の自治体や大学などに移管してもいい。
 それでも、立地に意味がある施設の移転は、熟慮されるべきだ。引用した記事にも挙がる弥生文化博物館や近つ飛鳥博物館(河南町)などは、周辺の弥生遺跡や古墳群(史跡指定済み)とセットの立地であることに意味がある。ハコモノの建物は、民間に売却してショッピングセンターにでもできる(←極論)としても、周囲の遺跡はまさか破壊して造成するわけにはいかない。今回、近つ飛鳥博物館への統合という情報だが、池上・曾根遺跡の保存にどのような影響があるか注目である。
 ワッハ上方については移転の方向らしいが、移転の候補地が問題になる。しかし、これには、喜味こいし師匠もおっしゃるとおり*1、この施設はミナミにあることに意味がある。この付近からそれほど遠くに離れるわけにはいかない。
 じつは、ここから至近の場所に、現在学習ルームや小劇場として利用されている市立小学校の跡地がある。
 

 精華小劇場

 
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 学習ルーム側は、戎橋筋にありながら、閉まっているときは、かなりさびしい。
 
 現在入居している小劇場や学習ルームがすでに建物をすべて使ってしまっていれば仕方がないが、*2府と市の協力は重要である。ここつかわしてもろたらいかがだろか?。
 
参考
asahi.com:大阪市中心部の廃校の跡地、私立学校を誘致へ - 関西
第2CLACLA日記 : 大阪・精華小学校跡地は「未利用地」ではない(朝日新聞・吉浜織恵記者の記事を受けて)