「レジーム脱却」驚き:朝日新聞・耕論

でどころ
コメント欄に貼り付けていただいた競艇場から見た風景のエントリhttp://kurumachan.seesaa.net/article/39698386.htmlで引用されているhttp://teagon.seesaa.net/さんのhttp://teagon.seesaa.net/article/39693270.htmlに引用されている共同声明文私たちは現日本政府の体制変革(レジームチェンジ)に反対します |共同声明文(案)のなかで言及されているコロンビア大学教授・ジェラルド・カーティス氏の発言を含む朝日新聞論説主幹・若宮啓文氏との対談
2007年4月22日 朝日新聞オピニオン欄・耕論「首相訪米、何を発信する」より「戦後体制」の項を写経

若宮 安倍さんは若手議員のころから、河野談話、そして過去の侵略や植民地支配をおわびした95年の村山首相談話に激しく反発する議員グループに加わり、右派言論と呼応するかたちで議員活動をしてきました。首相になってから河野談話村山談話の継承を明言するなど軌道修正したのはよかったが、今度の問題ではつい本音の部分が出てきてしまった。
カーティス 安倍さんが「戦後レジームからの脱却」というスローガンを掲げていることが外国でもっと知られたら、世界中にたいへんな誤解を招くことになるでしょう。民主主義国のリーダーが自分の国のレジームチェンジ(体制変革)を訴えるなどというのは、理解に苦しみます。
若宮 北朝鮮じゃあるまいし……ですね。しかし、自民党参院選に向けて「戦後レジームからの脱却」をキャッチフレーズにテレビCMをつくろうとしていますよ。
カーティス レジームということばの重みを考えるべきです。戦後体制から脱却すれば、望まれる体制は何であるか、その全体像が見えないのが問題です。
若宮 安倍さんの考えを突きつめていくと、憲法教育基本法を始めとして、占領下でいろいろなものが米国から押しつけられた結果、日本は精神面で誇りを失ってしまった、そこから脱却したい、ということなのだと思います。
カーティス 米国にとっての関心は、日本の首相がどのようなイデオロギー歴史観を持っているかというよりも、どいういう具体的な政策を追求したいのかということです。米国が知りたいのは、日本をどこへ引っ張ろうとしているのか、そのビジョンと戦略は何かという点です。
若宮 ただ、歴史的経緯を見れば、米国の責任もある。A級戦犯容疑者だった岸信介さんを放免し、やがて首相になるのを歓迎した。日本の民主化より「反共」のために米国が日本の戦争責任者と手を握ったわけです。最近も小泉首相靖国神社に参拝し、結果としてA級戦犯を擁護する行動をとっても、米国が何も言わなかったのは、そのせいもあるでしょう。日本との同盟関係を重視するあまり過去のけじめをあいまいにしたことが、今日の安倍さんを生んだともいえる。
カーティス 安倍政権は米国のネオコンと共通していることは多い。外交の目的は普遍的価値の拡大であるべきだというのは、ネオコンの考えでもあり、麻生外相が打ち出した「自由と反映の弧」構想にも表れている。でも、イラク政策の行き詰まりで、ブッシュ政権へのネオコンの影響力は劇的に弱まり、北朝鮮政策も百八十度転換した。ネオコン的な安倍首相と脱ネオコンの米国との間の食い違いが今後広がるのが心配です。
若宮 「共通の価値観」ですが、実は安倍さんは自由や民主主義のなかった時代の日本に対して甘く、いまそれを問われている。一方のブッシュ大統領には自由や民主主義のためなら武力行使をいとわない怖さがあり、イラク戦争で破綻した。お互い、そこを反省しないと「共通の価値観」は説得力がありません。

(強調は引用者)