教育予算・教育改革を「人質」にして「改正案」をごり押ししてくるだろうね・・・教育基本法改正反対

安倍晋三がこんなことをいったらしい。
http://www.asahi.com/politics/update/1111/002.html

 安倍首相は10日夜、政府主催の教育改革タウンミーティング(TM)で「やらせ質問」があったことに関連し、「教育基本法の問題と、このタウンミーティングの問題は別の問題だ。教育改革を進めていく上においても、速やかにこの教育基本法の成立を図りたいと思う」と述べた。TM問題の調査状況にかかわらず、今国会で教育基本法改正案の早期成立を目指す考えを示したものだ。首相官邸で記者団に語った。

教育基本法の問題と、このタウンミーティングの問題は別の問題」という箇所に怒りを覚えるのは当然だが*1、しかしここで注目すべきなのは「教育改革を進めていく上においても」という発言だ。このところのいじめや未履修問題によって、世論は教育改革が必要だという印象を持っているし、原因や時期、それへの処方箋の問題をのぞけばそれは改正反対の人々も同じ思いだ。もちろん、ここにある藤田英典氏の答弁のように「改革は結果が伴いますから必ず改悪であれば実害が伴」うので、私たちは「改悪」には断固反対する立場である。しかし、それによって「教育改革を阻害する抵抗勢力」というレッテルを貼られるのは避けるべきだ。これは、苅谷剛彦の「抱き合わせ改正論」のように、教育基本法改正とその他の教育改革がセットになっていることから起こる*2。改正政府案17条については別のエントリで詳しく述べたいので詳述しないが、議事録やそれについてのエントリをみると、教育予算を確保するという積極的側面と、文部科学官僚の利権拡大や条文の拡大解釈による事業計画の暴走等消極的側面がある。予算面での措置も適切に分配されなくては必ずしも根本的な教育格差縮小につながるわけではないが、改正の反対によってそれができず、改革が阻害された(る)という宣伝が与党側からなされる可能性はきわめて高い。また、文部科学省まではタウンミーティング未履修問題の責任を問われるが、教育再生会議はその点について現在のところは「シロ」であり、その動向はメディアの注目を集めている。再生会議が動いていることでそれへの期待が広がる可能性もある。安倍首相の発言はこのような文脈から理解すべきだろう。
そこで、改正反対派としても、このような批判にさらされるを防ぐため、現行教育基本法の元で、その精神を生かした改革案を早急にまとめ提示する必要がある。これは現行法の履行による教育改革を具体化する作業であり、現行法への理解を深め教基法改正反対への世論を作るために必要である。風向きがかすかに変わりつつあるいまこそ「真の教育改革」を提案して、廃案へのわずかなのぞみをつなぐべきだ。