教育再生会議・渡邉美樹氏の記事写経

教育バウチャー賛成派の意見です。

朝日新聞 10月9日 朝刊 「きょうの論点」「教育バウチャー制度の是非」
ワタミ社長 渡邉美樹さん
「競争で創意工夫盛んに」


 学校経営の夢を実現するため、03年に都内で私立中・高校を運営する学校法人の経営を引き継いだが、授業で創意工夫を凝らす先生が少なかった。努力しない理由は、年功序列で給料が上がるからだ。生徒や保護者、同僚、上司など様々な角度から評価する「360度評価」を取り入れ、給料に差をつけたところ、目の色が変わった。息苦しい競争とは思わない。子どもたちの幸せのためだ。
 学校に競争原理が働かないのは、補助金によって経営できる体制になっているからだ。生徒数より、教職員数に応じて配分される比率がずっと高いので、生徒がなかなか集まらない学校でも経営が成り立つ。まずい料理を出してもつぶれないのなら、店をよくしようとする発想は生まれない。公立は私立以上に競争原理が働いておらず、教育界全体に、努力しないと淘汰される経営の観点を持ち込むことが不可欠だ。
 バウチャー制度は、生徒の数に応じて学校の収入が増える仕組みなので、自然に競争原理が働く。保護者も、どの学校に子どもを入れるのか、真剣に情報を集め、事前に授業を見学するようになるだろう。授業をきちんと成立させられない学校は当然見捨てられる。
 それぞれの学校が生徒に選ばれるだけの特色を出そうと工夫するので、教育の質は底上げされる。全員が東大を目指す学校があってもいいし、私どもの学園のように「働くことに人生の喜びを感じてもらう子を育てる」ことを目標に、個性的な職業教育を充実させる学校もあっていい。
 公立と私立間の不公平の解消にもなる。生徒1人あたりで計算すると、公立の中・高校では年間約100万円の経費を行政が負担している。東京の私立中・高校の場合、補助金として三十数万円が支給され、その差を保護者が埋めている。行政が負担する原資を一緒にして同額のバウチャーを保護者に支給し、公立はバウチャー以外の負担はゼロ、私立は各校ごとに「それ以外にいくら」というようにする。そこに奨学金を絡めれば、経済的な理由で私立をあきらめていた生徒も私立に通えるようになる。
 「私立熱を煽る」との批判があるが、生徒と保護者の判断でいい教育を選ぶのだから構わない。公立と私立を対等に競わせることの方が重要である。
 子が親を殺したり、大学生の多くが「できれば働きたくない」と言ったりする現状をみると、戦後教育は敗北したと思う。ゼロから作り直すべきで、バウチャー制度で創意工夫を始めることが、その第一歩だ。
 (聞き手・深津弘)

カリスマ的経営者であり、私立学校を経営して校長に小林節氏を据えるなど、話題になった。同世代の父親を中心に共感をよぶところがあるかもしれない。インタビューを構成した記事なので、どこまで性格に発言を再現しているかという問題があるものの、最後の段落に現れているように「戦後教育」に対する評価はひじょうに一面的・短絡的だという点は指摘できる。


(追記)渡辺美樹のほうがはてなキーワードが使いやすい。