補足[教育基本法]

id:kmizusawaさんのコメント欄でhttp://www.kinyobi.co.jp/pages/vol621/antenaにある文部科学省の大槻達也・生涯学習政策局政策課長の「私は外交官としてタイで勤務したことがあるが、東南アジアのほとんどの国では愛国心の規定があり、午後5時には国歌が流れる。映画の上映前には、国王の映像が流れ、起立して国歌を聴く。米国でも州ごとに愛国心や国旗への誓いを盛り込んでいる。国際化が進む折、こういった考え方を子どもたちに身に付けさせる必要がある」と発言したことをとらえて「教科教育の中にも生涯学習の中にも愛国心を強調した内容がドンドン入り込んでくるってことが、杞憂でもない」んじゃないか、と言ったんですが、これだとちょっとわかりにくいので補足いたします。
id:mushimoriさんも同じコメント欄でとりあげられていた『《愛国心》のゆくえ』広田照幸世織書房)では、「入学式や卒業式に『国を愛する心』を涵養するような儀式や儀礼がもちこまれたとしても、おそらくナショナルな感情を喚起するという意味での教育効果は高いとはいえ」ず、常に「周辺層」を生み出してしまう、すると今度は教科教育や普段の教科外指導で涵養することを狙って教育活動を組織するようになるだろうと指摘されています。*1
教育基本法改正案の政府案では、第二条で「教育の目標」として20の徳目を指定しているのですが、第十三条では「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。」とされています。十三条における「教育」が二条の影響下にあると考えれば、徳目が学校・家庭・地域住民・「関係者」の連携で達成が目指されることになります。要するに、三者+α一体で「周辺層」をしらみつぶしにすることが考えられます。
今回、id:kmizusawaさんのとりあげられた、指導要領改定で英語、音楽も「伝統重視」されるという記事と生涯学習政策局政策課長がこういう発言をしたことで具体性がおびてきたな〜と思い、「杞憂でもない」といってみたところです。

*1:戦前の試験問題をあげています。『《愛国心》のゆくえ』広田照幸世織書房)2005 p105